aiko's Another World Creation&Expression
多面体の月

社会的に生きている人は、みんな多面体としてできている。
幾つかの属する社会、人間関係という名の社会ごとにそれぞれの顔を持っている。

自分の有する様々な面を隠すつもりはなくても、同じ人には同じ顔しか見せないことが続く。
その社会にいるときの自分というものが既にできあがっているから。

多面体の持ち主自体は、それが自分のある側面であることを知っている。
側面に過ぎないことを知っている。
その持つ全ての面の数は当人でさえわからないかも知れないが。

唯、多面体の一面に関わる特定の社会の方は、そうはあってくれない。
固定した位置関係からは、一つの面しか見えてこない。
固定した位置関係を複数共有していたとしても、やはり全体は見えてこない。

ちょうど、地球からは決して月の裏側は見えないように。

多面体のそれぞれの面。
面の形は同じ。一つの面の色しか見えない位置。

各面の色が随分違ってしまうとき。
そのような多面体は、存在自体が裏切りと受け取られることもある。

固定した位置関係から想定される所の、固定観念に対する、裏切り。
逆恨みにも似た裏切られた感情は、否応なく、浮かぶ。
その位置が固定されていればいるほど。

見えなくても。知れなくても。動けなくても。

そこには、私の知らない色があって当然であることを、留めておきたい。
そこには、あなたの知らない色が現にあることを、留めて欲しい。


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