高い高い天井の鍾乳洞の洞窟
発光体を持つ植物達のほのかな光が
蝋燭の炎のようにただ岩肌を照らしてる
洞窟の中に何故か存在する巨大なパイプオルガン
パイプの内には褐色の黒い肌の裸なる少年達
少年は七人・七本だけのパイプの中
なにものかをなにごとかを畏れ呻き喘いで
少年達はただパイプの内に生きてある
獣のように蠢いてみても抜け出すことはできない
この世ならぬ風景に動けないで私
目を閉じることもできず眼前にパイプオルガン
少年達が生きてあるままのパイプの内を目掛け
天井より迫り来る鈍く光る重厚な鎚が
少年達の骨を砕き臓を潰す音が
耳からでなく躰の内より私に響く
洞窟の中の空気は微動だにせず静かで
生きながら生きながら鎚に砕かれし少年達と
ただただ立ちつくす私とが共鳴する音だけが
刺さるような静寂の外界をよそに
鼓膜を内から破くような大音響で私に響く
私の内なるシンクロニシティ・共鳴は唐突に止み
パイプオルガンはひとりでに賛美歌を奏し
洞窟の空気をふるわせ外界の静寂を破る
ひとしきり賛美の歌奏でられた後
パイプオルガンの鍵盤は捲れあがり
砕かれ潰されたはずの少年の一人が
パイプオルガンの内より貌を出す
七人いたはずの少年は一人
出来たりしその一人の少年の身の丈は
七人いた少年のそれを合わせたほどで
だけれど手足の長さだけは一人の時のまま
ただただ胴だけが異形のもののように長く
高い高い天井も窮屈そうに少年は一人いた
呆然と見上げる私と少年の眼が交わった時
不意に顕れた大いなる白い御手
少年の背丈より大きなその白い御手は
輝いて輝いて私達を包む
柔らかい暖かい光の御手に包まれると
胎内にあるようで羊水に浮かぶようで
心地よくて心地よくて私達は眠りに落ちた
どれだけ眠ったろう一日か千秋か
眠りから目覚めた時私は御手の上
私を包んだ御手は開かれて大地のよう
大地の柔らかな丘の上横たわる私は裸身
異形の少年は何処にと思い辺りを見回すと
異形の少年は何処にもいなくて
七人の褐色の黒い肌の赤子達が
裸身の私の傍ら安らかに眠っている
七人の黒い天使達白い御手の上
黄色い私の周り七人の黒い天使達
安らかで安らかで私は唯涙した・・・
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