aiko's Another World Creation&Expression

のこりゆき
いつものようにいつもの路を私は歩いていました。
路にはたくさんのゆきが残っていて、足下の空気を冷たくします。
ゆきは空気を冷蔵庫の中みたいにします。
どんな空気かというと、子供の頃入った、花農家のおばあちゃんちの
お花用のおおきな冷蔵庫の中みたいな空気です。

空気が冷たいので私は急ぎ足で歩きます。てくてくてく。
路は残り雪で冷たいし、日もすっかり暮れて辺りは暗いです。
だから私はまるまります。まるまって下を向いて歩きます。

下を向いて歩いている私を、ちいさなむっつの瞳が見ています。
瞳は南天とコルク栓でできていました。
南天の瞳はよっつ、コルク栓の目はふたつありました。

コルク栓の瞳はおおきな蛙さんのものでした。
蛙さんのお口は祠になっていました。
祠の中には南天の瞳のお地蔵様がいました。
青磁の小皿に榊のはっぱがお供えしてありました。

蛙さんとお地蔵様に見つめられて私の脚はとまります。
足下で私を冷たくしているのこりゆきと彼らは同じなはずなのに。
こんなにも私の頬を緩ませます。

ふと振り返ると後ろにはこじんまりした小料理屋さんがありました。
ご主人の即興の飾り付けなのでしょうか。
ゆきかきついでの遊び心でしょうか。

空気が冷たいうちに。きっとこのお店に行こうと決めました。
ゆきののこる寒さがとても嬉しくなりました。


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