aiko's Another World Creation&Expression

意味がほしい

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私は不思議だった。

もう私は、上手くやれるはずだったのだ。
私が穢れとして忌まれていたことなど、もう誰も知らないのだから。
私は今や忌まれるような存在ではないのだから。
もう私は、上手くやっていいはずなのだ。
どう考えたって、それが、「合理的」っていうものだった。

不思議だ。私はいろんなものを持ち。
不思議だ。私にはもう嘲りの声はなく。
もう私は、この地上で幸せになって良いはずだった。
過去に欲しかったはずのものはこの手にあった。

なのに。

どうして私は、虚しくて仕方なかったのだろう。
どうして私は、過去により現在を受け入れられなかったのだろう。

苦しい過去のために、恵まれたはずの現在を受け入れられない。
あまりの不合理。あんまりなアイロニー。
全ては不条理劇の舞台の中。
進むのは役者の時間。劇中の時間。
虚勢というドーランの下にあるはずの、私の時間は停止したまま。

どうして。どうして。どうして。

あるとき、私は。
それは、「なんだったの?」って思うからなんだって、気がついた。
私の過去は、過去からある自分は、なんだったのかと。

忘れたい過去でさえ。囚われた過去でさえ。
忘れたい過去だから。囚われた過去だから。
意味が欲しい。意味が欲しい。
結局は、忘れることなどできないのだから。

「どうして、私が?」
「どうして、私は?」
その答えが。その理由が。

意味が貰えて。はじめて進める。

なにものでもない、私だけの意味。
それをきっとみんな欲しいのだろう。
忘れてしまいたいような過去であればあるほど。
本当はきっと意味が欲しくて仕方ないのだ。
結局は、忘れることなどできないのだから。

あるとき、私は。
それは、私を磨くためだったって、教えられた。
私の過去は、そのためだったって。

「今は痛いかも知れないけど、じっとしててご覧。
後で振り返ってみたときに、ぴかぴかになってるから。
君が好きだから、ぴかぴかになって欲しいから、
ちょっとだけ強めに磨いてるけど、その分だけ、
もっともっとぴかぴかになっていくからね。」

ホントは私はずっと、どこからかこんな風に語られていたらしい。
なんでだか、これまでちっとも聞こえなかったんだけど。
どうやらずっとずっとそう言ってもらっていたらしい。

その声の主は。
ちっとも気がつかないでただじたばたしてた私に。
いつになったら気がつくんだと苛立つこともなく。
ただただ私がぴかぴかに磨かれるようにって、
どうやらずっとずっと祈ってくれていたらしい。

そんな風に。
私は過去に意味を貰えた。
過去に意味を貰えて、私の中には絶対値ができた。
絶対値。絶対値は私に前後の観念をくれた。

過去を無くそうとしていた私には全ては相対だった。
全ては相対だったから、私はどこにも行けなかった。

時には後戻りするかも知れない。
けれど、とにかく、同じ所では止まらない。
だって、とにかく私は絶対値のあることを知ったのだから。

これからも私は生きる。
現在はどんどん過去になる。
現在のただ中にあることも、過ぎた過去にあることも。
すぐには意味の分からないことだらけだ。
ひとには意味の分からないことだらけだ。

でも、これからは。
振り返って絶対値を見ることさえ忘れなければ。
振り返れば意味が貰えるのだ。意味が貰えるのだ。

そして、声の主が。
いつもいつも、私が磨かれることを祈ってくれることを忘れなければ。
いつだって意味なんて、与えられているのだ。

私が在ることに。私に起こることに。
意味がある喜びに。意味を知れる喜びに。

ただ、ありがとう、の一言を。
いつでも、言えたらいいな、と思う。

ありがとう。ありがとう。
意味をくれて、ありがとう。

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