回り道

「こちらは回り道ですよ」

道ゆきであった子象に言われ
僕はずいぶんがくぜんとした

「私とまっすぐゆきましょう」

言われて僕はふりかえり
きた道を見てもう一度
今度はもっとがくぜんとした

僕の後ろにあったのは
思っていたよりずうっとずっと
曲がりくねった回り道

まっすぐ進んで良かったなんて
それだけのこと それだけのこと
どうしてわからなかったかな

この僕にだってあったんだ
やりたいことは仮面の下に
ゆきたいみちは瞼のむこう

ピエロの家に産まれた僕は
やっぱりピエロの化粧をしてて
やっぱりピエロの衣装を着てて
ピエロの姿を言い訳に
まっすぐ進めやしなかった

憎んでいたよピエロの化粧
だけど落とせぬピエロの化粧
大嫌いだったピエロの衣装
なのに脱げないピエロの衣装

産まれた時から化粧をしてた
産まれた時から衣装をきてた
だからだ 僕は怖かった
こんな姿じゃまっすぐに
歩くことなんてできないよ

立派な仮面を身につけて
立派な衣装を手に入れて

まずはそれから
それからじゃなきゃ

まっすぐになんて歩けない
ずうっとずっとそう思ってた

まっすぐ進んで良かったなんて
ピエロの衣装のままだって
まっすぐ進んで良かったなんて
ピエロが嫌なら裸でだって

子象にあってやっとわかった

「これから私とゆきましょう」

子象のおおきな瞳が言った

そうだねそうする子象くん
でもあとほんのもう少しだけ
僕は回り道歩くんだ

まっすぐ進むあの道に
いつでも行って良いってことが
僕にもはっきりわかったからさ

だからねほんのもう少しだけ
入ってきちゃったこの回り道
バカにしないで歩くんだ

でこぼこぐねぐね回り道
どうして僕がこんなとこ!
ずうっと思って歩いてた
自分で選んだ道なのに
良いことだってあったのに

だからねほんのもう少しだけ
でこぼこぐねぐねこの回り道
ごめんなさいとありがとう
言っててくてく歩くんだ

歩きはじめた僕を見て
しょうがないねといいたげに
子象はおおきな目を細め

「じゃあ少しだけおつき合い」

僕の後ろをついてきた

まっすぐ進むその前に
ねえ回り道 ありがとう・・・
あなたがいたからまっすぐ道も
僕にはずっと素敵です・・・。


mail to: aiko@gol.com


| Home |
| Season | | Art | | Essay | | Self |
Copyright(C)Aiko Mizuno,1997,All right reserved