・・・もうじき冬になる季節には。
空に立ちこめる雲の中には生まれたばかりの雪の妖精たちがたくさん。
彼らはもうすぐ、その年の初雪になるのです。

雪の妖精の長老が赤ちゃん妖精達に言います。

「おまえ達、われわれ雪の妖精ははじめて地上へ降るときにだけ、
不思議な力を授かるのじゃよ。地上に落ちるまでに、外の景色を
よくよく眺めておくのじゃぞ。地上に降りたなら、落ちるまでに
見つけたもので、一番生き生きとしたものを雪で形づくって見る
のじゃ。もしもおまえ達がほんとうに生きるということを見つけ
たのなら雪はいのちをもって動き出すのじゃ。おまえ達の作った
雪のいのちの行方はわしがここから見守っておるからの。」

長老の言葉に、赤ちゃん妖精達はきょとんとしてます。
もくもくした雲の中しか見たことのない赤ちゃん妖精達には、
雲の外の世界、地上の世界の事なんて全く想像できないのでした。
目をぱちくりさせる赤ちゃん妖精に、長老は、雪のように真っ白な
お髭を揺らしながら

「ふぉっふぉっ、今はわからんでもよいのじゃ。
よおく地上までの景色を眺めて降ることだけ、忘れぬようにな。」

そう言って、針のように細い目を更に細めて笑うのでした。
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