平成14年刑事訴訟法第一問
一 令状が必要かについて
1 本問の捜査を行うには令状が必要か。
 本問では、大麻の押収が問題となっているところ、捜索、押収に
ついて裁判官が事前に発する令状を要求した憲法35条により、令
状が必要とされるのではないか問題となる。
 思うに、憲法35条が捜索、押収に令状を必要とした趣旨は、捜
査に対し司法的抑制を加え、もって国民の財産権やプライバシー権
の不当な侵害を防ぎ人権保障を図る点にある。
 そして、刑事訴訟法はかかる令状主義を担保するため、強制の処
分については法律に特別の定めがなければ行えないとする強制処分
法定主義(197条1項但書)を定めている。
 すなわち、強制処分にあたる捜査を行うには令状が必要とされる。
2
 では、本問の捜査は強制処分にあたるか。
 思うに刑事訴訟法の目的は人権保障と実体的真実発見との調和(
1条)にあるところ、強制処分の範囲もこの目的に適合するように
解すべきである。
 そこで、強制処分とは、@個人の意思に反して、A重要な権利を
侵害する処分をいうと解する。
 人権保障の目的からは、@個人の意思に反する処分を強制処分と
する必要がある一方、A軽い権利侵害でも常に強制処分にあたると
すると、実体的真実発見を害しうるからである。
 この点、本問の捜査は、@甲の意思に反して、A甲の大麻樹脂の
所持を奪い、また下剤を用いるという甲の身体の生理的機能を害し
うる処分を行うものであり、重要な権利を侵害する処分であると言
える。
 よって、本問の捜査は強制処分にあたるので、令状が必要である。
二 どのような令状によるべきかについて
1
 では、どのような令状が必要か。
 思うに、本問の捜査は、甲の大麻所持罪の証拠物の占有を取得す
る目的で行われるものであり、捜索、差押の性質を有する。 
 よって、本問の捜査を行うためには、捜索差押令状が必要である
(218条)。
2
 また、本問の捜査は、甲の身体の内部への侵襲を伴うものであり、
この点についても司法的 抑制を加えることが必要である。
 そこで、本問の捜査には、鑑定処分許可状も併用するべきである
(225条、168条1項)。
  鑑定は特別の学識経験ある鑑定受託者によって行われるもので
あること、裁判官が身体の検査について適当な条件を付すことがで
きる(225条3項、168条3項)ことから、甲の身体の安全確保のための
司法的抑制を行うのに適しているからである。                                    以上











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