一 1 民事訴訟は、口頭弁論という、公開の法廷で両当事者が対席の うえ、口頭で攻撃防御方法を提出する審理方式で行われるのが原 則である(必要的口頭弁論の原則、87条1項)。 このように、民事訴訟の手続が原則として公開される趣旨は、 客観的な事実認定に基づく公正な裁判が行われることを担保する 点にある。 すなわち、民事訴訟の裁判は、証拠により事実を認定して、そ の事実を法規に当てはめて訴訟物たる当事者の権利義務の存否を 判断するものであるところ、事実認定は客観的に行われる必要が ある。 そして、事実は各当事者間に固有のものであるため、その判断 の客観性を担保するために公開が必要となるのである。 2 このような民事訴訟の手続が公開される趣旨からすれば、@な しうる事実認定が制限されている場合には、必ずしも判断の客観 性担保のために手続を公開する必要はない。 3 また、A公開によって著しい不利益を受ける者が存する場合に も、手続は公開されない。 判断の客観性担保より、公開による不利益を防ぐことを優先す べきだからである。 二 @事実認定が制限されている場合について 1 弁論準備手続(168) 弁論準備手続とは、当事者双方が立ち会うことができる期日に おいて行われる争点及び証拠の整理手続であり、公開が制限され ている(169条2項)。 弁論準備手続においては、主として争点及び証拠の整理手続が 行われ、裁判所ができる証拠調べも公開によらなくても客観的に 行いうる文書による証拠調べに限られているからである(170条2 項)。 2 書面による準備手続(175) 書面の交換によってなされる争点及び証拠の整理手続であり、 公開の前提となる期日がそもそも存在しない。 争点及び証拠の整理のためになされ、事実認定が行われないの で、判断の客観性担保のために公開する必要がないのである。 三 A公開により著しい不利益を受ける者が存する場合 文書提出命令において、一般的文書提出義務(220条4号)に基 づいて文書提出命令の申し立てがなされた場合(219条)、文書が 除外事由(220条4号イからニ)に該当するかどうかの判断を するための手続は非公開でなされる(223条6項)。 220条4号イからニの文書が公開されると、文書の所持人や 関係者に著しい不利益が生じうるので、かかる不利益を防ぐため、 手続を非公開としているのである。 以上 |