平成14年民事訴訟法第二問
一 設問1(1)について
 1 
 本問では、訴状に被告と表示されているのは乙であるが、期日に
出頭したのは丙である。
 そこで、裁判所の採るべき措置を論ずる前提として、乙、丙のい
ずれか当事者とされるのか、当事者の確定基準がまず問題となる。
 思うに、当事者は、訴状送達(138)等の基準となるものであ
り、当事者の確定は訴訟の当初から客観的な基準でおこないうるこ
とが重要である。
 そこで、訴状の表示を基準として当事者を確定すべきである。
 この点、本問では、訴状には乙が被告として表示されている。
 従って、本問の訴訟における当事者は乙である。
 2
 では、当事者が乙であるとして、裁判所はいかなる措置を採るべ
きか。
 思うに、訴訟係属が適法に生じるためには、被告に訴状が送達さ
れなければならない(138条)。
 そして、送達は送達を受けるべき者(101条)に対してなされ
る必要があるが、丙が訴状を受領している本問では、送達を受ける
べき被告乙に訴状の送達がなされていない。
 よって裁判所は、本問の訴えは訴状の送達を欠き適法な訴訟係属
が生じていないとして、訴えを却下(140)する措置を採るべきである。
二 設問1(2)について
 1 
 乙は、訴訟法上どのような手段を採ることができるか。前提とし
て、当事者でなく訴訟追行権のない丙による訴訟追行の結果なされ
た判決が有効か問題となる。
 思うに、訴訟追行権のない者による訴訟行為は無効であるが、外
形的には有効になされた判決は不存在とは言えない。
 そして、判決が控訴期間の徒過により確定する(116)と、既判力
が生じ(114条1項)るため、法的安定を図る必要がある。
 よって、控訴期間の徒過により確定した本問の判決は有効と解す
べきである。
 2
 判決が有効として、乙は訴訟法上いかなる手段をとれるか。
 思うに、訴訟追行権のない丙による訴訟追行の結果判決がなされ
た本問の状況は、訴訟上の代理人が訴訟追行権を有していなかった
場合(338条1項3号)に類似する。
 よって、乙は、338条1項3号類推適用により、再審の訴えを提
起するという訴訟法上の手段を採ることができると解する。
三 設問2について
 1
 丁は、訴訟法上どのような手段を採ることができるか。前提とし
て、本問の請求認容判決が確定しているといえるか問題となる。
 思うに、当事者である乙が死亡しており訴訟代理人がいない本問
では、乙の死亡により訴訟手続は中断する(124条1項1号、同条
2項)。
 そして、手続の中断中であっても判決の言い渡しをすることはで
きる(132条1項)が受継がなされるまで控訴期間の進行は停止
する(132条2項)。
 よって、相続人丁による受継がなされていないと解される本問で
は、控訴期間の進行は停止しており、判決はいまだ確定していない。
 2 
 よって、丁は、控訴を提起して(281)、訴訟追行権のない者
の訴訟追行により判決がなされた瑕疵を争うという訴訟法上の手段
を採ることができる。
                                                                以上










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