|
hsj塾生の方から頂いたレスをに読んで、混合契約そのものについても自分なりにまとめてみたいと思いましたので、書いてみます。 (私も概念を知っていた程度なので文章中に誤解がありましたらご指摘お願いします。) |
|
民法典には、 贈与、売買、交換、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇用、請負、委任、寄託、組合、終身定期金、和解の13種類の「典型契約」が定められています。これらの典型契約以外の契約を「非典型契約」といったりします。 典型契約は、社会に実在する主要な契約類型について当事者の意思を推測してその内容を定めたもので、契約各論の規定は、当事者の意思を補充し、不明確な箇所を明らかにするための規定です。 「混合契約」は一つ以上の典型契約の要素(例えば売買)と、他の典型契約の要素(例えば賃貸借)要素またはどの典型契約にもあたらない契約の要素を含む一個の契約で、非典型契約の一種です。 つまり、大雑把にいうと、混合契約には
1 典型契約A+典型契約B
1・・・複数の典型契約からなるもの 1の具体例としては、製作物供給契約(請負+売買)なんかがあります。 1タイプ・2タイプのいずれにしても、典型契約の規定をある程度類推適用することにその特色があるようです。
|
|
------<典型契約の規定を類推適用するメリット>------------------------- 民法には契約自由の原則があるので、強行法規や公序良俗に反したりしなければどんな内容の非典型契約でも自由です。 でも、当事者にもその契約から生じた紛争の処理ができなくなったようなとき、その契約に関する基準もその契約に良く似た契約に関する基準もないとしたら、紛争を処理する裁判官がなんの基準もないところで実質判断しなければならないことになって大変です。 典型契約部分を含むことが認定されると、その部分については、民法の規定が当事者の合意内容を整理する一応の基準になります。複数の契約が組合わさった混合契約では、契約の実質関係の認定は往々にして不明確になります。契約締結時における当事者の予測可能性という点では、形式的な把握の方が、優れていると言えます。 典型契約であれば、何らかのトラブルが起こったときも、それに対応する規定が民法上におかれているので、それが類推適用されるとわかればある程度紛争解決についての予測可能性が担保されるわけです。 ----------------------------------------------------------------- |
|
ただ、だからといって、当事者の締結した契約が典型契約の要素を含んでいるとか、複数の典型契約に分割して考えることが可能だからといった形式的な理由だけで、強引に典型契約に近づけた解釈をして良いかには疑問があります。当事者の経済的目的、契約(全体)を締結した実質的目的に反する解釈になってしまう恐れがあるからです(私見)。 たとえば、今回の裁判例を例に考えると、 形式的には「売買契約」と「賃貸借契約」という二つの契約が締結されています。
そして、 しかし、本事案のように「売買契約」や「賃貸借契約」が「投資目的の達成の手段」 にすぎない場合、「売買契約」と「賃貸借契約」を締結した共通の目的、上記の個々 の契約の目的の上位概念となる目的が認定できる場合には、それが契約形式として 典型契約であることに過度にとらわれてはいけないと思うのです。 本件の場合、「年率4%の利回りを得ること」が実質的な原告の目的です。 ですから、その実質的な目的をふまえたアプローチで紛争を解決すべきなのでは ないかと考えています。
なお、私は、前回のNewsで(ちょっと眠かったのもあって(^^;))、 「結論として」離脱を認めるべきだと書きましたが、ちょっと訂正します。
|
|
「(形式上)二つ以上の契約の締結に共通する目的」 が達せられなくなったような場合には、それらの契約全体からの 離脱を「問題にするべき」だと思う。 |
|
という文章に訂正させていただきます。 結論として解除を認めるか認めないかはともかく、アプローチとしてもっと実質関係に着目した解決策を取った方がいいと思う、といいたかったからです。(今回の不動産小口化契約の事件については、認めないのがまあ相当だったのかなという考えになりました。) 解除を認めないにしても、家賃の支払いと入っても実質は投資に対する利回りであって、経営が実際上傾いて保証した利率を維持できなくなった場合の投下資本回収方法が契約解除以外しかないことを原告としても当然認識すべき状況であったとか、(投資家としての原告の能力に応じた説明が果たされていることが前提になりますが)、解除の他にも投下資本回収の道があったとか(本事案では実効性の高い投下資本回収手段は解除の他には考えにくいようです。数千分の一の不動産持分を一個人投資家が公正な価格で売買できるような市場がないからです。)いう実質判断をするべきじゃないかと思います。 皆さんはどうお考えですか? ではでは。
|
|
<参考文献> 我妻 栄 「債権各論 中巻二」P883 ジュリスト No.1067 P131 星野 豊 「不動産小口化商品の解約」 |