此岸との境に燃ゆる彼岸花
いのち巡れと日に願うのか/愛子
昼と夜とが、同じ長さになる秋分の頃咲く花、彼岸花。
野の草の緑の中に転々と群生する、鮮やかすぎる程の朱の色に
どこか蓮華座にも似通った荘厳とも言える姿形に、
子どもの頃から不思議に惹きつけられてきました。
生き死にの迷いの川を越えたその向こう岸の「彼岸」には
きっとこんな花が咲き乱れている、そんな風に思わせる何かが
この野の花にはあるような気がします。
これを見る者は自ずから悪行を離れる天界の花、を意味する
曼珠沙華の別名からしても、やはり、彼岸花は、
どこか、現世を離れた雰囲気を漂わせているのでしょう。
昼と夜がその境を同じくする頃、彼岸花が咲き乱れる川岸は、
ひょっとしたら、此岸と彼岸との境目になっていて、
生まれくる命と死にゆく命の行き交うのを、秋分の度ごとに
見つめ続けてきたのかも・・・そんな白昼夢に囚われて、
気紛れに詠んでみたのが冒頭の短歌です。
来秋もまた、彼岸花のいのちの声を聞くことができますように、
そんなことを祈りたくなる、秋の川岸でありました・・・。