子供の頃、良く一人で桜の木に登りました。
本ばかり読んで運動は全然出来ない子供でしたが、
樹の中で、花や葉を見ながら時間を過ごすことは好きでした。
一人で樹の中で、誰も知らない、子供の私と桜だけの時。
そんな時、私は、桜とお話ししているような気持ちでした。
とりわけ、はらはら静かな音が聞こえ来る、落ち葉の時は特に。
子供の私の中で、はらはら散る桜の落ち葉は、
ワケ知りで姉御肌で優しい、でもちょっぴり寂しそうなお姉さん。
学校で嫌なことがあったときなんかも、落ち葉の中にいると、
「あたしは、あんたが悪いんじゃないって知ってるよ。」
そんな風に慰めてくれているような気持ちになったのを覚えています。
とうの昔に木登りなんて出来ない年になってしまって、
だあれも見ていない、桜の樹の中で、
落ち葉のお姉さんと二人きりで話す事も無くなりました。
もうすぐ落ち葉の季節が来ても、
もうお姉さんを見つけられないかもしれません
だけど私の中の、感動やさんの小さな子供は、
まだまだ、私を慰めてくれた落ち葉のお姉さんを覚えています。
だんだんだんだん大人になっても、
落ち葉のお姉さんを覚えている子供は、
いつまでも私の中にいてくれると良いなあなんて想いながら、
新世紀最初の秋の訪れを感じ始めている、今日この頃なのです。
2001.9.1