死刑制度そのものを凶器に用いたと言うアイディアがウリなのかな。
そこに冤罪と、死刑執行の在り方も交える辺りがポイントだと。
江戸川乱歩賞の受賞作なので、推理小説としても堪能。
犯人は登場人物の中にいるはずなんだから、南郷も疑ってかかったよ。
佐竹と純一が実は知り合いでした言うのはフェアじゃない気もするけど
まぁ、恩田陸の投げっぱなしジャーマンに比べればマシか。
ミスリードにまんまと二転三転させられるのも面白い。
冤罪が晴れても樹原は救われないだろうし、
お勤めを済ませて出てきても純一が弟に許されることはないのかもしれないし、
真実が明らかになったら啓介の人生も暗転するのだろうし、
一つの事件から広がる不幸と言うのは計り知れない。そして報復は連鎖する。
ラストも切ないし、救われない感もあるのだが、悪くなかった。
南郷正一さんが良かったな。
「ジェノサイド」も図書館で見つけるか、文庫化されたら読んでみたいね。