うーん、分からない。
だけど恩田陸でこう言う展開にも慣れたよ。大丈夫。
1章を読み終えた辺りの印象は、恩田陸の常野シリーズ。超常現象ミステリ。
或いは道尾秀介の様なオカルトなのか。それとも「指輪物語」の全てを統べるモルドールの指輪の魔力か。
最後の最後まで、よく分からないまま終わっちゃった。
今邑彩「ルームメイト」みたいな最後の後味の悪さ。
敵というか、悪というか、対立軸が分からないんだ。
綿本は小物に過ぎない。かと言ってミハル自身が悪じゃあんまりだけど。
浄鑑も悠人もヒーローでもなければ、悪までもいかない。
何かが憑いているのか。
異形の存在は「禁じられた楽園」や烏山響一なども思い起こさせる。
ノエさんの爪剥しの夏は10本全部なんだとすると、ウッカリでも何でも無いという示唆なんだろう。
地味に怖さを煽る。町全体の歪みは「月の裏側」に通じるものがあるな。
袋に入った小動物への虐待は「鴨とアヒルとコインロッカー」そのままって感じ。
発端は何だったんだろう。ミハルに憑いたその前に何があったのか。
悠人の父と、綿本の妻の不貞が真実だとしたら、結局多摩雄から続く工藤の血に起因しているのか。
後味も悪く、意味も意図も分からず、まさに溺れてそのまま姿をくらますミハル。
仏に救いは無いのだ、それが主題なんだろうか。
また、良い所がまったく無い、踏んだり蹴ったりな阪下哲也の役回りは?