無伴奏

太田忠司・東京創元社

え、これはミステリでは無かったと言う事なのか。

主人公を含む阿南家、物語のカギとなる吉村をめぐる家族、三隅と梢の夫婦、三隅と一緒に失踪する希美の姉、
桑名マネージャの親子だったり、“寿退社”する瀬田さん、そして湊さんのエピソードと大きく7つの家族を描いてるのだが
軸が定まらず、散漫な印象がある。

序盤の謎は、痴呆気味の父がこぼした「わしが、殺した」という台詞。
終盤の謎は、2人の死者に関する空白の1時間。
思わせぶりなんだけど、イマイチ。
例えば、鶴子の一家心中や、主人公が元警察官であるという過去、野川のおばちゃんが言う大根好きのエピソード
この辺は何の意味があったのか、無かったのか。
脇役たちに深みを与えるための味付けなんだとすると、期待を持たせた程には奥行きがなくて空振り感の方が強い。

どうやらシリーズ4作目なんだね。
とは言え、しばらくは手が伸びそうにないな。

(14/7/27)


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