さよならバースディ

荻原浩・集英社文庫

そうか、この人は組織の闇を書くのが得意なんだった。
それはミステリ畑に於いても同じ事か。
2つの不審死は、寄付金にまつわる不正に繋がっていく。
彼女の死は自殺なのか、真犯人が存在するのか。見ていたのは『話せる』猿だけ。

…なんだけど、ちょっと分かりにくい。
「いかさま」にしても、読み取りだけがインチキだったって事か。
どこまでが虚構で、どこまでが物語り上の事実なのかが、不明瞭。それは読んでる私の集中力の欠如のせい?

他の作品に比べて、キャラクターの味付けが大人しい気もする。
これまで読んだ作品には、もっと破天荒なキャラが多かったから。
ま、ボノボが最も強烈なキャラと言えなくもないのだがね。

ミステリとしては、バースディを疑ってみたり、不正の背景をあれこれ想像したりして、
なかなか良い線だったと思うね。
「メリーゴーランド」もそうなんだけど、この後がどうなるのかが気になってしまうのは無粋ってものでしょうか。

(08/09/15)


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