吾輩も猫である

恩田陸ほか・新潮文庫

言わずと知れた文豪の名作をオマージュしたアンソロジー。
私自身は猫を飼っていたことは無いが、ウチの奥さんは黒猫を飼っていた。
猫は本当に自分が上位だと思っているみたいね。爆笑問題の田中は、人と猫の全面戦争になったら猫側に付くとか。
「わたしのげぼく」という猫にまつわる絵本も買って読んだけど、世の中の猫象はブレない。

「いつか、猫になった日」
赤川次郎
三毛猫ホームズシリーズは読んだことない。
暗いテーマのはずなのに、どこか笑えてしまう。文庫本の最初の扉としては好都合かもしれない。

「妾は、猫で御座います」
新井素子
「おしまいの日」以来の新井素子かもしれない。
猫が人間の相手をしてあげている目線の、典型的な物語運び。
もう少しホラー要素があるかと思ったけど、そうでもなかった。

「ココアとスミレ」
石田衣良
IGWPシリーズが真っ先に思い浮かぶけど、猫を書かせたらSF気味だった。
「星送り」は本当に猫の世界ではやっている儀式かもしれないね。
こういうの、やっぱりイヌじゃなくて猫だな。

「吾輩は猫であるけれど」
荻原浩
漫画も本当に本人が描かれているのか?

「惻隠」
恩田陸
猫版の“火の鳥”というところか。
化け猫どころか、もっと壮大な時間軸でのお話。
まぁ短編の恩田陸だとこんな感じだろう。

「飛梅」
原田マハ
「暗幕のゲルニカ」は気になっているけど、未だ読めていない1冊。
ただしこの短編については、収録の中でもっとも取っつきにくかった。

「猫の神さま」
村山由佳
頼りない飼い主が憎めなく描かれてるあたりに、物語に漂う優しさがある。
飼い主がスマホ見て一喜一憂している、そんな猫目線で見られてるのと同じように
私も生後10か月の息子から、不思議そうに眺められてるのだろうな。

「彼女との、最初の一年」
山内マリ子
まだ先の事が分からない学生時代。卒業と同時に不安いっぱいのまま世の中へ放り出される感じ。
なるほどこれって猫目線に通じるところがあるのかもしれない。
外の世界で疲れて帰ってきて、家に着くや否や猫相手に愚痴をこぼして、また新しい一日が始まる。
そんな毎日が待っていそうなラストで文庫本全体が締めくくられる。

(18/12/02)


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