カラスの親指

道尾秀介・講談社

「片眼の猿」みたいに弱い者たちが集まって、敵に向かっていくいいお話。
でも実はちょっと違ったと言うオチまでついて、更にいいお話。
少なくとも「シャドウ」「向日葵の咲かない夏」の系統よりも読後感がスッキリする。
「ラットマン」「ソロモンの犬」よりも命を落とす人間が少なく…
と思ったけど既に失われたタケさんやテツさんの家族を考えれば十分に弔いの話だった。

銀行検査官として詐欺を働くシーンでのテツさんの登場や、
アルバトロス作戦の貫太郎の態度、などで見られたミスリードはまんまとやられた。
そっちじゃなくて、そっちかい! とね。

思わせぶりな伏線はちょこちょこ張ってある。
テツさんはヒグチの回し者なのかもしれない、とは疑ってかかってたんだけど
もっと大きなどんでん返しが待っていた。
誰がカラスで、誰の親指か、何故親指かと言うところが明かされて終了。

「豚々亭」と「馬々亭」で合わせてトンマとか言うオチは…無かったか。

(09/11/01)


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