カッコウの卵は誰のもの

東野圭吾・光文社

一応、これもミステリだろう。どっちかと言うとサスペンスか?
とにかく殺人事件には犯人が必要な訳で、犯人とくれば序盤からの登場人物でなくてはアンフェアな訳で。
いろいろ推理したけど大ハズレ。

後半に出てくる小倉邦子なる20代女性を、妙齢の女性と勘ぐって実は畑中弘恵の娘は生きていたか?などと思ったり。
上条文也の登場の目的は、上条信行が野球経験がある事を語る事にあり、
畑中弘恵の娘でなくとも、上条信行の娘であればFパターンの遺伝子継承を満たす事になり
風美はやはり上条信行と世津子の間に生まれた子であり、畑中弘恵の娘は別にいるのだ、とかさ。

遺伝によって授けられた才能と、本人のやる気が必ずしも合致しないと言う大命題。
逆に、才能を引き継げなかったのに、直系と言うだけで過度に期待されて、その期待に潰れるパターンもある。
風美の言う通り、結局は当人の自助努力しか本人を救ってくれるものは無いのだが、血の濃さも1つの要素である事も然り。

スポーツのみならず、経営の才覚についても遺伝はあるのだろう。
ケーエム建設は血を分けた社長と次期社長がいっぺんに他界してしまい、これからどうします。

いろんなテーマが盛り込まれているんだけど、どこか消化不良気味。
東野圭吾の割には読後感が今一つスッキリしない1冊。「虚ろな十字架」の代わりに図書館で借りてきたのだけど
その期待の「虚ろな十字架」は果たしてどうだろう。

(14/8/13)


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