バカバカしい。しかし面白い。
恩田陸ワールド、奥が深いね。先に読んだ集英社の2冊に比べて、角川っぽいよね。
「ネバーランド」はTBSでドラマ化してたらしいけど(随分と舞台背景を変えて物議を醸した様ではあるが)、
この本はフジテレビっぽいかな。『有頂天ホテル』の様なノリで。
27人と1匹がめまぐるしく交錯する。でも実は物凄く限られた空間で。それなのに一人ひとりの個性がしっかりと描かれていて。
阿刀田高の「街の観覧車」も短編集の主人公たちが、それぞれ他の物語にチョイ役で絡むって言うコンセプトだったけれど、
こうやって一同に介して大騒ぎするってのも面白い。
これは雑誌の連載だったみたい。なるほど、続きが気になるよな。大したものだ。
6章とか、95章で、唐突にポストを描写するので、何かあるんだろうなと思っていたからラストは何と無く想像付きましたよ。
95章や100章の読者に対してストレートに回答していく手法って面白いなと思った。
ドミノの続きは書くつもりないのかな。常野物語みたいに、シリーズ物にしたら・・・疲れるか。こんなシナリオを続けるのは。
どうせだったら50章の高木課長の帰社後のリアクションなんかがオチになってたりすると唸っちゃうんだけどな。
生保業界にお勤めの方、11月がイベント月なのは真実なのでしょうか。
こう言うリアリティって、大事だよね。フィクションだとすれば、そのアイディアはさすが。
意外とこう言うコンセプトを使いたくて書いてたりね。
いくら何でも東京駅構内をバイクで、しかも二人乗りで爆走は不可能でしょう。
でも、このシーンなんかが一番映画向きかもね。
逆に映画向きでないのは、随分引っ張られたダリオ君。
正体は何だろうなぁ、って考えながら読んでたんだけど、そう来たか。私は、もっとサイズ小さいものを考えてました。
まぁ、彼の視点でカメラ回せば、それなりに映画向きなのか?
監督はダリオ君を探すのが先決でしょうに。監督とクミコの悪ノリは何だか正に三谷ワールドに通じるものを感じる。ナンセンスなノリでさ。
恩田陸の幅広さを窺い知る事のできた1冊と言う意味で、なかなか宜しかったのでは。