タダイマトビラ

村田沙耶香・新潮社

読みたいリストの1冊を図書館で見つけたので、借りて一読。
母娘を中心に家族愛を巡る1冊。こういうのは男性には書けないんだろうな。
予想していた雰囲気とは違う展開に、戸惑いつつも途中までは消化できていたのだが、
ラストがいただけないな。恩田陸で、こういうラストにも耐性はついたけどね。
ネットでも賛否両論だったみたい。

確かに家族は選べない。理屈じゃなく、家族だから無条件に無償の愛がある。それで良いんじゃないかね。
家族ゆえの憎しみもあるかもしれない。少なくとも、感情が存在するだろうに。
こんなに感情が欠落するなんてあるだろうか。
大切なものは与えられるのではなく、つくるもの、と言う事なのか。

渚の掌中のアリスが鍵になったのは間違いないんだろう。
取り換えられる命、これが家族と、精神と、そして小説を崩壊させて終了。
また後味の悪い1冊を選んでしまったものだ。

(13/02/03)


茶色い本棚(国内作家)へ戻る

私の本棚へ戻る

タイトルへ戻る