縛られた綾が器用な足業を披露した時、まさか動物が化けているのか? とも考えたけど違った。
主人公のぼやきがそのまま冗長な文章として並ぶのだが、テンポが良いから間延びはしない。
限られた登場人物で物語を終結させるためには、真犯人が一組の夫婦に辿り着くのは途中で読めた。
ただ動機はやや強引と言うか、伏線も無いから唐突な気もするけど、まぁミステリじゃないから良しとしよう。
カーチェイスもどきのハラハラシーンも用意されていてハードボイルドとしては成立か。
大沢在昌よりはこちらの方が好きだな。
裏表紙のコメントに拠れば、最後の種明かしの部分で涙を誘うのだろうが、
主人公のニヒルな(を装った)湿度の低さのお陰で涙には至らなかった。
ちょっぴり切ないけど、残されたもので新しい1日に向き合わねばならないのだ。
ここまで「神様からひと言」「メリーゴーランド」と人情ものを読んできたけど、
次は「さよならバースディ」で少しミステリタッチになりそう。
楽しみは続く。