エンド・ゲーム

恩田陸・集英社文庫

33歳の最後の一冊は恩田陸。これは期待してたんだけどなぁ。

「光の帝国」に収録されている「オセロ・ゲーム」でチラ見させた限りでは、面白そうな話になりそうだったんだが。
「グリーン・スリーブス」だっけ? イサオ・オサリヴァンも、どうなっちゃうのか心配だよ。

とは言え、やはり読む前はワクワク感が止まらない。
目次を見ただけで1分くらいは考えちゃった。
基本は1章→3章→5章の流れで、振り返る2章→4章なんだろうね。6章は2年後か。あぁ、うるう年でしたか。

裏切り者は誰なのか。序盤はその探り合い。火浦も老婦人も怪しさ満載。
ところが、次第に怪しさはミステリーよりオカルトっぽく傾いてしまう。
「禁じられた楽園」に近いかな。鳥居をモチーフにした異空間は「ネクロポリス」か。
既に世界が取り込まれてしまっていたと言うのは「月の裏側」にも通ずるか。
恩田陸の脳内に描かれてるイメージを映像で再現できれば良いのだけど、残念ながら私にはイマイチ分からない。
田口ランディの「インターネット」とかも、映像化されてようやく分かった部分あったな。

4章のラストで驚きの展開に。この広げた風呂敷を、どう収拾してくれるのか半分楽しみで半分心配。
残り2章を慌てて読むのは勿体無い。ここで4章までを2回くらい復習。
満を持してラスト2章を読んだのだけど。

火浦が雨を眺めているのに、厚化粧について記載があったり
暎子にキーワードを迫っているのに、「あたしの夫の名を」と女性視点で迫ったり
ところどころの違和感は何なのか。
裏返されていたのは肇なのか。
一応の解が示されているだけでもマシか。

せめてカラス親父が烏山響一だったら、ある意味拍手喝采だったのだけどな。

「裏返す」能力は、やっぱり「目」に関するものだから、遠目の亜種なんだろうか。
常野物語の割には傍系のストーリーだからか、ツル先生も出てこない。独立して楽しめるギリギリの線か。
番付は『前頭』クラスだな。期待値が高すぎちゃうのかな。

(09/07/16)


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