この度、映画版を見てようやく筆を取りました。 いや、キーボードを叩きました。
バイオ・ホラーは最近の流行で新たな分野を確立したと
言っても過言では無いでしょう。
その証拠に、リング、らせんの映画化が
挙げられるのではないでしょうか?
おっと、このパラサイト・イヴ自体も映画化された訳だしね。
原作を1度読んだきりでずっと
放っておいた訳ですが、映画を見て、も一度
読み返してみました。
私は基本的に原作派なんですが、意外と
この映画は良く出来ていると思ったのです。
しかし、やっぱり原作を読み返すと
情報量の欠落は否めない。
ただ、鈴木光司もそうですが、説明的な描写が
多いから仕方ないよね。
そういうのは
ヴィジュアルの方が分かりやすいし。
一長一短ですね。
ミトコンドリアは独自のDNAを持っているというのは
高校の生物の授業で知っていましたが、
それをプロットにこんな作品を考え付くのは
さすが現役研究者(当時)って感じです。
主客転倒を狙うミトコンドリアですが、
原作の方では最後に異種間の受精時の
ミトコンドリアDNAの遺伝パターンのからくりに
野望も夢と散る訳ですが、映画の方は頂けないよな。
この作品はずっと「利他的な遺伝子」をテーマにしているのに
女の子を解放して、利明と共に心中するなんてさ。
それにしても、原作の方も
学会であんなマスパニックを起こしておきながら
当事者がその後普通の生活を持続できる訳は
無いと思うが、それは無粋なリアリズムでしょうかね。
ただ、鈴木光司もそうですが、敵(?)である智者が
一人では生命体を創出出来ずに、他に新たな母体を必要とし、
それを入手する手際を見事に演出している所が
理系のリアリティーのこだわりなんでしょうね。