純平、考え直せ

奥田英朗・光文社文庫

私のはとこの名がジュンペーだったな。この主人公ほど破天荒な青春は送ってないけれど。

石田衣良のIWGPシリーズの「サル」も池袋のヤクザの中で、徐々に階段を登って行ってたね。
ラストで純平が放った弾丸は、彼をどこに導くのか。

ネット上でお気楽に賛否両論入り乱れるあたりのリアリティは流石だなと。
“名無し”名義で2つの人格が異なる意見を書き込みしているように思えるのだけど、
これもリアルにそんなもんかね。
傍観者の盛り上がりが、却って純平を引っ込みつかなくさせたか。

どんな仕事であっても、やっぱり壁にはぶち当たるもの。
そこで逃げてしまうのか、ぶち当たるのか、超えるのか。
自分で引いたレールなのか、他人に引かれたレールなのか。
何が正しいかなんて、分からない。
正しさを積み上げた末にグレる事を決めた不良老人もいたね。

奥田英朗の小説は、沼田まほかるとか、真梨幸子に見られる“暗さ”が無いので救われる。
救われるハナシではないのだけど、読後感はサッパリ。安定してるな。
悪くない一冊でした。

(14/1/22)


茶色い本棚(国内作家)へ戻る

私の本棚へ戻る

タイトルへ戻る