陽気なギャングが地球を回す

伊坂幸太郎・祥伝社文庫

著者は私と4つしか違わない。若いと言って良いのかな。
映画化が決まって話題になっている(らしい)ので、買ってみました。
「長編サスペンス」ってか。なるほどドラマや映画を前提に考えられた様なポップな作品。
嫌いじゃないな。

冒頭の成瀬と久遠のやり取り。やっぱり意味があるんだろうなぁ、と思って読んでたら終盤でなるほど。
10の話しを2、3チラつかせながら、実はって成瀬の口から披露させる展開、悪くない。
これが恩田陸だと10の話しを2、3チラつかせながら、最後まで明かされない部分がある。
10の話しを最後まで4から5までしか明かさなかったのがエヴァンゲリオン。ま、すべての舞台装置を明かす必要は無いと思うけどね。

キャラクターの際立った個性、特に人間嘘発見器、精確な体内時計は強引ではあるけれど、
4人の会話そのものが楽しいから、まぁ良しとしよう。田中芳樹流のキャラクター分析をするならば、
リーダー格の成瀬にはバツイチの上、息子の自閉症と言う泣き所がある。
久遠は極端な動物好き、響野の場合は軽口が長所でもあり短所でもありか。
個人的には響野が最も愛すべきキャラだね。単独でって言うより祥子さんとの掛け合いが最高。祥子さんみたいな女性が理想だよ。

そして雪子の泣き所が今回のネタだった訳だけど、ミステリとは違って割かし予想し易い展開で、
最後のどんでん返しはある程度読めました。携帯電話型の盗聴器も、グルーシェニカーも、警官の制服もね。
映画も見てみようかな。成瀬が大沢たかおってのがピンとこないけど、響野の佐藤浩市は良いかもね。
新書では次作『陽気なギャングの日常と襲撃』も刊行されているけど、文庫化されてからで良いや。

(06/06/04)

映画見てみたけど、ぶっ飛びすぎで評価の対象外だね。
正直ガッカリ。

(07/04/28)


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