帯によると“正統派”幽霊屋敷物語なんだそうな。ミステリよりもホラーか。
やっぱり長編小説が読みたいなぁ。
まぁ、今回は連作短編集と言う事で、世界観が連環していてただの短編集よりは面白かったけど。
あの手、この手で、仕掛けてきてるなってのは分かる。だが、ストンと落ちない話も多い。
これは読み手である私の理解不足なのかもしれないね。
以下は各章ごとの読後短観。
○私の家では何も起こらない
お得意の不条理モノか。人は自分の見たいようにモノを見る。○私は風の音に耳を澄ます
何となく分かったけどエグいねぇ。○我々は失敗しつつある
うーん分からない。ストンと落としたつもりなんだろうな。
実は…と言う逆転の仕掛け。気持ちは伝わるけど、意味が理屈が分からない。○あたしたちは互いの影を踏む
こうなってくると、これは幽霊同士のオハナシ?
いよいよ、ワールド全開って感じか。まぁ、付き合いますよ。○僕の可愛いお気に入り
連続老人殺しの犯人の自決。幽霊に魅入られて、一線を越えて自らもと。○奴らは夜に這ってくる
前章のオチ回収なのかなと思ったらラストが元通り。輪廻と言うか、循環を意識づける章なのかな。○素敵なあなた
幽霊屋敷クロニクル。今度は世代を循環させたか。分かりやすさはありがたい。○俺と彼らと彼女たち
これはイカす話。結局最後は巧みな職人の前に敵は無いのだ。プロだねぇ。
にしても、ビルって。このお話の舞台は海外だったのか。○私の家へようこそ
最後は「中庭の出来事」みたいに、こちらに語りかけてフィニッシュか。
まあ悪くないけど、やっぱり長編小説をお願いしたいね。
やっぱり最後は読み手一人一人が、恩田陸の仕掛けた世界に
何を読みとりたいか、と言う主観に委ねられるのだね。
やや辛口なようで、結局のところは、概ね満足です。
一番最後の「文庫通信」と言うコーナーで恩田陸に向けて書かれた2人の作家のコメントが面白かった。