メリーゴーランド

荻原浩・新潮文庫

会社組織へのレジスタンス。「神様からひと言」も本作も底流にあるのはそんな感じ。
作中作品の様な『豆男』の話は、自分の何に対して愛情が注がれているのかって事と、排他的な集団が持つ危うさへの警鐘か。
ま、そんなに陰鬱に読まなくても楽しめるんだけど。

『うちのお父さんの仕事は、お金のむだづかいをしていません、とみんなに教えるために、市やくしょにすわっていることです』
『うちのお父さんの仕事は、えらい人にこうしなさいと言われたことに、はいと言って、それをきちんとやることです』
『うちのお父さんの仕事は、たのしいゆうえんちをつくることです。毎日の仕事は、がつんとはく力じゅうぶん』
『うちのお父さんの仕事は、すごくいそがしくて、土よう日も日よう日も出かけます。ぼくとのやくそくもまもってくれません』
『うちのお父さんのしごとは、アテネ村で…』

仕事って、何のため?誰のため?
この小説も、絵的にキレイな場面で終わるんだけど、本当の物語はそこからなんだと思うよ。

(08/08/31)


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