2020年積読解消シリーズ最終冊。スーザン・ヒル「城の王」の後味の悪さを払拭するには黒そうな1冊だが。
ネタばれご容赦。
1年時に三宅を追い込むことになる八巻の振る舞いに激昂した大雅。
それを契機に2年時に八巻が大雅への苛めを行う。
三宅と親しかったアポロン小野、アテナ常盤、アルテミス吉岡が八巻排除に立ち上がる。
でも、その切り札が母親の過去の虐待って、ちょっと弱いよね。
そして八巻を排除しただけに飽き足らず、頼りにならない教師に替わって正義を貫こうとする。
そこまでの義憤を駆り立てる熱意の裏付けが希薄。
下田先生が教員側の協力者。そこに蓮見先生が引き込まれ、蓮見先生が下田先生に内緒で校長に全てを告白し
校長は武藤先生ら他の教員とも共有した。
日下部にもちょっかいを出す八巻。日下部のスマホからガーディアンに会いたいと持ち掛けて、簡単に会おうと返事が来たのは何故。
そして現れなかったのは何故。
だからこそ辻先生を怪しんだのよ。まさか蓮見先生の方とはね。
学校ぐるみで、教師も覚悟の上でガーディアンに乗ったと言うのは、まぁ良いとして
秋葉に伏せていたのは、主人公のキャラ付け意外に理由はあったか?
異動してきた部外者がガーディアンの存在を受け入れてくれないと、校長の立ち場を危うんだからか。
秋葉がヒーローで、ガーディアンが悪という単純な構図にはしていない。そこも良い。
決して秋葉だけが熱い思いを持っている訳では無く、他の先生たちも動いていた。
でも、大雅たちの1年時には教師陣はいじめには気付けず、ガーディアン設立の機運を醸成した。
若木陸と西尾宗次郎の二人のやり取りも微笑ましい。仲間って感じよね。
吉岡と大雅の淡い恋物語が、一服の清涼剤。ガーディアンに感謝するのではなく、吉岡に感謝する。そういう事なんだろうね。
日下部と葵ちゃんの間はどうでしょう。何故かラストで大山さんに戻っちゃうのが意味深。
で、最後の最後でguardianがまだ存在している、という思わせぶりな締め。
最大のご都合主義は、卒業式までに八巻が戻ってくるだけのメッセージがあったのだろうか、という点。
夏目刑事は別のシリーズからのカメオ出場のようですね。