恩田陸ってキャラクターの配置が似ているのが田中芳樹に通じる部分かな。
中2と小6にしては大人すぎないか。練と千華子の2人。
なんとなく「ジュラシックパーク」のティム&レックスを思い出す。
田中芳樹で言えば耕平と来夢のオカルトアドベンチャーみたいなノリなのか。
千鶴子は飛行船シリーズの日記ちゃんのセレブママに似てるかな。
映画の様に短いシーンの連続で幕を開ける。
「禁じられた楽園」みたいな圧倒的な緑。あの世界観なら、久や徹や邦夫ら家族の思いが届くはず。
理瀬シリーズの様に継承がテーマならば、これは邦夫が久の後継者たる話しなのか。
「真昼の月を追いかけて」パターンなら、練と千鶴子の通い合いか。斜めの2人は賢と千華子もそうか。
エンジニアに対する畏怖は、未だ見ぬ何かに通じるのかな。
ただし途中から恩田陸のやばいパターン、広げた世界を収拾できるのかが心配になってくる。
大量に持ってくる様に言われた備長炭や、投げ込まれた61個目の黒曜石などは伏線なのか(ハズレ)。
登場人物のみで事態を収拾させるならミゲル、秀幸パパ、志村教授あたりが鍵を握っていたりして(大ハズレ)。
とまぁ、必死に想像力を掻き立てつつ終章を読み終えたのだが、普通に終了。
最後は連載の紙面が尽きたのか、書くのが飽きたのか、家族の再会のシーンなんかは端折ってるしさ。
カタストロフィが無い(インディ・ジョーンズみたいなアレがカタストロフィか?)あっさり感は「夜のピクニック」パターンだったか。
恩田陸は大きな舞台を書かせると「ロミオとロミオは永遠に」の様に世界に負けてしまうんだな。
「木曜組曲」や「蛇行する川のほとり」くらいのクローズな舞台で心理合戦を書かせると秀逸なのに。
強引なご都合主義もオンパレードだしなぁ。
メルニボネの地下水路を思わせる迷路で結局出会えてしまう、
千華子の声が聞こえたと言う千鶴子のインスピレーション、
満身創痍の練がクライミングできてしまう、
・・・とかね。
文句を言ってるのではなく、楽しみにしていた分、拍子抜けしてしまったのだよ。
まぁ、6分冊ではなく2分冊になってから買っただけマシとしようか。
それでも次の文庫化はなんだろうと楽しみです。