廃墟建築士

三崎亜記・集英社

今回の短編集は成和ワールドと明記は無いけれど、
「首都」としか語られないところや、「州」の存在はパラレル世界へ誘ってくれる。

○七階闘争
「となり町戦争」の原案みたいなお話。
誰と戦ってるのか、相手は世の無関心ってことか。

○廃墟建築士
成果が生前に得られる事のない職人たちの誇り。
文化は一日にして成らず。そんなお話。
「失われた町」に繋がるようなインスピレーションなのかな。

○図書館
「バスジャック」の『動物園』に繋がるこの能力。まだ「拡散」は「対流域確定」に名称変更してない訳だ。
ハヤカワ・トータルプランニングや、山根君、SKエージェンシーなど再登場。社長モテモテなんだな。
図書館を舞台にした創作と言えば、「図書館戦争」みたいな感じかとも思ったけど
イッカクリュウチョウの方が強そうだ。
『動物園』でもフタコブリュウオウやヒノヤマホウオウとか出てきたけど、
聞いてるだけど何と無く荘厳な幻獣のイメージが湧く、キレイな名前だね。

○蔵守
これまた職人魂みたいな話。
そして能力とは、それを披露する相手があってこそ成り立つもの。
この無常観も「となり町戦争」に通ずる空気を感じた。
ミサゴがいい味出してます。

(09/10/25)


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