これも借りて読んだ1冊なんだけど、帯を見ると04年の話題作らしい。
しかしパラレルにいろんな話しが語られる展開のどこがミステリ?
探偵小説ならば、パラレルに語られるエピソードが万華鏡のようだねって鑑賞もできるが。
そう思ったら、なるほど大きなどんでん返しが待ってた。
上手なミスリードだったね。分かって読み返すと、強引な部分もあるのだが素直にやられた。
麻宮さくらと蓬莱会が怪しそうなのは掴めたけど、安さんとも絡んでくるとは。
登場人物が小さい輪に収斂していく展開はありがちではある。
麻宮さくらと成瀬将虎。古屋節子と安藤士郎。
世羅の事件を混ぜた理由がよく分からないが、これはヒントだったのかな。
確かにね、携帯なんて出てこないんだよ。
2つの自殺に立ち会った成瀬将虎。
高卒で探偵事務所に就職し、ヤクザの内偵中に世羅の事故(?)死、京の自殺にショックを受け退職。
定年後、パソコン教室の講師を勤めながら、安藤の決意の自殺に際して一計を講じる。
そして、メインストーリーとなる久高家の事件が始まる訳だ。
キヨシの7つ下の高校生ってのが、序盤の肝だね。確かに六本木に飲みに行く高校生なんだからさ。
マドンナ久高愛子が語る「おじいさん」と畳み掛ける。結局、愛子はどうしたんだ?
仕掛け自体は壮大なんだけど、久高の事件が何だかうやむやのまま終わる感じ。
節子と将虎が二人で盛り上がって、納得ずくで一緒に塀の中へ入って終わるのかい?
実は蓬莱会のオフィスで、成瀬に向けて語られた老人批判が真のテーマだったりするのかな。
やっぱりツッコミ編。
成瀬の兄の東大在学中の夭折=学徒出陣はムリがない?
成瀬と綾乃が蓬莱会の即売イベントから走って逃げるのも体力的にムリがあるでしょ。だって彼らは…
それに「オネーサン」や「彼氏」はいくらなんでもミスリードとして強引だ。
安さんから「親御さんは?」って聞かれるのも、おいおい、今幾つだよって話。
節子の娘だって、相当な年齢だよ。あまりシンパシィを感じないが。だいたい売春…春?
時系列がトリックになっている点で、我孫子武丸の「殺戮に至る病」を思い出した。