楽園

宮部みゆき・文芸春秋

やっと読み終えた。下巻に突入したくらいで東北太平洋大地震が起こって、しばらく読めなかったので
どうにもテンポ感が悪く、ページを繰る手が止まらないと言った感じでは無かった。
そもそも、一体何のハナシやらって感じでね。
「クロスファイヤ」とか、宮部みゆきも時たまトンデモ系を齧るんだね。
恩田ワールドで言えば「禁じられた楽園」に近いのか。

「模倣犯」の登場人物が主人公と言う事で、「模倣犯」から予習したものの
さほどの関連性は無く。むしろ比較対象としては前者の方が読み応えがあった様な気がしてならない。
今回の作品はズバリ家族がテーマなのだと思う。
土井崎家、萩谷一族と敏子・等の母子、金川の伯父・甥、高橋弁護士の多田君をわざわざ甥にしたのも然り。
そしてもちろん前作から引き続いての登場である滋子と昭二の夫婦も。

家族は無条件に頼れる社会の最小単位であるとは思うけれど、近親の憎悪も表面張力を超えてしまえば決壊すると。
そんな時、じゃぁどうすれば良かったのか。この答えのない問いがテーマなのか。
だから、非常に読んでても救われない。最後の最後で邂逅の場面を持ってきたのは、作者からのせめてものお口直しか。

読み返すときっといろいろ再発見もあるのだろうけど、
今はちょっとその元気が無く、物語の半分ほども味わえていないのかもしれない。
だが、限りある時間の中での出会いって、そんなものなのかも知れないね。

(11/03/19)


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