「半落ち」よりはずっと良かった。元記者だとは知らなかった。
命に小さいも大きいもない。記事にも小さいも大きいもない。つまりはそう言う事かな。
先輩から借りたりもらったりして読んでるので偶然なんだろうけど、こないだは『身内犯罪小説』が続いたし
今回は「翳りゆく夏」と続けて新聞社が舞台の小説でした。切り口は随分と違ったけれどね。
事件か事故かって点もあったかもね。
新聞社に限らず、会社で何かを為そうとすれば必ず誰かとぶつかることになる。
あちらを立てれば、こちらが立たぬ。それでも一つの方向性を示して進むしかない。
判断をするには、根拠が要る。根拠が誤っていれば、判断も誤り、結果も自ずと誤る。
ただし、正しい判断をすべく時間をかけていれば、時期を逸する場合もある。
限られた情報の中から最善と信じて選んだ判断が、結果として誤っていた場合は凹むよ。悔やむよ。
佐山と神沢の現場雑感、玉置の事故原因を載せられず、彩子の投書を載せた。
それは主人公・悠木が与えられた情報、置かれた環境、抱いた信念の結果ではあったものの、
その結果は閑職への左遷だった。ただね、更にその結果は本人がそこに道を見出し、意義のあるものに昇華させたのであれば、ね。
仕事と同時に垣間見える悠木家、岸家、安西家の今。伊東家と悠木家の過去。
そしてもう一つの物語として語られる、その後の悠木の登攀。そこには凄惨な事件や、もどかしい葛藤などメロウなストーリーを
一挙に払拭するような展開。悠木家と安西家のアンザイレンって訳か。そしてその答え自体は作中で語られることはなく、ただ高みを目指す。
共に下りるために、か。
これもドラマ化されてたから、いつかそちらも見てみたいね。