虚無への供物

中井英夫・講談社文庫

何故だか文庫版のカバーだけが本棚にあったのだが、この度の新装版を購入し改めて再読。
これは時代背景など含め、難しい1冊。これはいったい何の話なのか。
三大奇書の1つに選ばれるアンチ・ミステリーなのだが、正直よく分からん。
社会への憤懣。事故の傍観者への苦言。そんな社会派ミステリーの一面もあるのだろうか。

ただし入れ子構造の作中作は「三月は深き紅の淵を」だったり、
犯人は読者だと訴えかけるのは「中庭の出来事」だったり、恩田ワールドへの底流となる部分も散見された。
これが古典と言う事か。「ドグラ・マグラ」も気にはなるけどね。

NHK-BSでドラマにもなっていたらしい。NHKオンデマンドで配信されていれば購入しようかと思ったけど
残念ながら配信はしてないみたいだった。再放送してくんないかな。
もっとも、原作とはずいぶん違っちゃってるらしい。さもありなん。

(13/04/28)


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