殺人鬼フジコの衝動

真梨幸子・徳間文庫

図書館で借りる事が多くなったけれど、前から読みたかった本作は本屋で限定版を購入。
負のスパイラルでは福澤徹三「東京難民」、後味のほろ苦さで今邑彩「ルームメイト」や浦賀和宏「彼女は存在しない」と、
最近読んだ本と比較してしまう。
あとがきにあるほど救いのあるエンディングとは思わないな。

フジコの母(茂子の姉)、フジコ、早季子と連環する悲劇は、ある女性の遺作と言う形を取ることで
入れ子構造のようでもあり、誰の視点で書かれているのか惑う。
小野田静香も小坂初代も、そして茂子もとんだ悪役だと。
ヒール揃いの中、一番の悪役は誰なんだろう。

脇に目を向けると、惨殺されたフジコの妹は影が薄い。
茂子の息子たる健太は、真っ直ぐな生涯を送っただろうか。
救われない物語にも、どこかで救いを探したくなるよね。

■そして「私は、フジコ」を読む。
限定版のおまけ書き下ろし。
これは次作への序章と帯にあるけど、ホントなの?
Q教団についてでも書くのかね。

これを舞台にもしたって言うんだから凄いよね。どんな感じに仕上がったんだろう。
見に行けなかったのは残念。舞台は映画と違ってDVDにはならないんだろうな。

(13/11/30)


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