■iとθの過去 木村藍と浅葱の双子の兄弟は母親からの折檻を受けていた。 浅葱の方が標的になっていたが、ある日二人は入替る。 藍は母親をめった刺しに殺害し、二人はバラバラになる。 ★しかし真実は15年前の2月23日に浅葱が母親を殺し、それを良しとしなかった藍をも殺してしまう事になる。 それは強盗殺人事件とみなされ、浅葱だけが生き残る。この時に浅葱は解離性同一障害となり、その後のiの土壌となる。 藍が母親を刺したと言うのは、木村浅葱の誤った回想。 ■日向子と佐々木のおじさんの結婚 狐塚孝太 高校3年 狐塚月子 高校1年 新婚旅行に向かった二人を見送った後、孝太にだけはいつまでも自分だけの兄でいて欲しいと泣いて懇願する。 ■5年前 秋先生が都内の大学からD大学へ赴任してくる。 ■3年前秋(コンクール募集時) 狐塚孝太 大学3年 ■フラッシュバック 上原愛子と木村浅葱 ■2年前 萩野清花 大学院2年 狐塚孝太 大学4年 狐塚月子 大学2年 石澤恭司 大学4年 右の瞼の上に片目だけの金のリングのピアス、舌にもピアス。 木村浅葱 大学4年 ⇒この時期i探しをして上原愛子の目に止まり、メールやり取りで手記を略取される。 上原愛子 C大学2年(飛び級だから本来は1年生) コンクールのi。自分の能力を晒す事で人と距離ができたため匿名投稿する。 浅葱はi探しの過程でC大飛び級組の調査で上原愛子と出会う。 上原愛子も略取した手記から浅葱と藍のエピソードを知り、藍として浅葱の創作に付き合うことで浅葱への愛情を示そうとした。 愛子は藍(i)として浅葱を凌辱した男を事故死に見せかけて殺害するが、ここで事の重大さを感じ お化けトンネルで浅葱と向き合うことに賭けたが、右目を刺されて死亡。 再び浅葱の中の解離性同一障害の藍が浮上し、「今はまだ会えない」のメッセージを残したと思われる。 ■第1章 狐塚月子 大学4年 秋山一樹 50代半ば 狐塚孝太 大学院2年 白根真紀 大学4年 秋先生の魔法のメッセージの事を知っている。 片岡紫乃 アルバイト時代に知り合った月子の親友、医者の一人娘でF女子大生。 赤川翼 高校3年生 ■第2章 浅葱が経験した、モンシロチョウとアオムシコマユバチの寄生。⇒これがi=浅葱の伏線だった。アサギマダラとマダラヤドリバエ。 6月11日赤川翼の失踪。【i1人目】 坂本 入間署の刑事課長。警視。35歳。10年以上前、秋先生(当時助教授)のT大学文学部時代の教え子でもある。 園田 入間署長。54歳 狐塚日向子 孝太と月子の母、孝太は二十歳の子。 石澤恭司 大卒後就職したが1年目で辞職しフリーター。 片岡紫乃 月子がネイルアートを落とす程のいびつな関係。紫乃は周りからチヤホヤされたいため、月子に周囲の好意が寄せられるのは気に入らない。 木村浅葱=θ 極度の潔癖症。 7月3日 森本夏美がθに殺害される。【赤い靴:θ1人目】 この日、夏美と同じマンションに住んでいる姉を訪ねた萩野清香が、夏美殺害直後の浅葱に出くわす。 ■第3章 木村藍 浅葱の双子の兄=i?(と言うミスリード) 母の死後、浅葱とは離れ離れに。 木村浅葱 藍と離れ離れになった後は「光のない家」で過ごし、消える事のない烙印を刻まれた。そのトラウマで人と触れる事ができない。 iからのメールを受け取ったθ浅葱は、PCに保存していた過去の手記を略取される。 7月24日 今田信明がiによって殺害される。浅葱と同じ施設にいたことがある模様。 iを見て今田が驚くのは、双子で似ているから?と言うのはミスリードで、実はi=浅葱だから。【あーぶくたった、煮え立った:i2人目】 2年前には今田の友人(浅葱を凌辱していた張本人)が事故死している。これは上原愛子の仕業。 この後、お化けトンネルでiと浅葱は再会するはずだったが、浅葱は愛子を殺害し、「今はまだ会えない」と言うメッセージが残される。 会えない訳だ。偽者の愛子はともかく、<表:浅葱>と<裏:藍>は同一人物なんだもの。 ■第4章 浅葱と月子の出会いのシーン。月子が一番衝撃的なシーンとして挙げたのは蝶の羽化。浅葱にとっては寄生のイメージだろうが。 萩野の孝太に対する思い。盗聴器を返しに来る萩野。月子と買い物する萩野(この時萩野は月子の浅葱への好意を言い当てる)。萩野の気持ちを確かめた浅葱。 iと浅葱が再会するために殺害ゲームを始めた経緯。 8月15日 萩野が浅葱に殺される。【戸棚にしまって鍵をがちゃがちゃがちゃ:θ2人目】 それは月子が小学校教諭の試験に合格した日でもあった。 ⇒ 僕のメジャースプーンで出てくる秋先生の部屋にいた学校の先生は月子? ■第5章 坂本が秋先生の下を訪れ、孝太を含めてiが晒したHPを前に見解を述べる。2年前に秋先生が関わった事件とは? 萩野の死後のショックを引きずったまま紫乃と会う月子。それを見かけた恭司。 9月9日 蛇島友美が事故死。【鶴と亀が滑った:i3人目】 これは実は偶然の事故死だったが、iはそれを利用したのかトイレにメッセージが残されゲーム続行。 ■第6章 月子に誘われた学食で蛇島の事故死のニュース報道を見て、崩れ落ちる浅葱。その際、月子に触られるが不快感と同時に離したくない感情が芽生える。 保健管理センターで待っていた孝太が、センターの対応の悪さに毒づく。 孝太が月子の家に寄って、幾つかの伏線が明らかになる。 この時、月子が孝太が真紀ちゃんを好きだと言う事を看破していた。萩野が孝太に好意を寄せていたことも告げていた。 秋先生が関わった2年前の事件、それは真紀ちゃんに怪我を負わせ平然としていた彼氏を消してしまった。 秋先生が卒業までに月子に答えを出すように課した「どうして蝉やアブラムシを殺してもいいのに、蝶やとんぼは殺しちゃいけないの?」 ⇒これは 僕のメジャースプーン 恭司が孤児だという過去。両親は飛行機事故で死亡。生き残った恭司は父親の知り合いに引き取られた。 D大学の留学枠に浅葱が選ばれる。悔しいながらも浅葱を祝福できる孝太。月子はそれを紫乃から知らされる。 ■第7章 サーカスのチケットが秋先生から月子に、陣内教授から孝太に渡される。 月子は浅葱を誘って断られる。孝太は真紀ちゃんを誘って了承される。 浅葱はタイムリミットが近付いても「孝」を殺す事ができず、iから裏切りを指摘される。iは自らが動く事をほのめかす。 孝太の家にiからの殺害予告が投函される。秋先生に相談し、坂本警視らの監視下に置かれる。緒方刑事が「小川」と偽証し陣内ゼミに潜入する。 浅葱はiの手で孝太が殺される前に「孝」を殺す事を思いつく。 ■第8章 10月8日。サーカス当日は前回の事件からタイムリミット1ヶ月となる。 孝太は厳戒態勢の下、真紀ちゃんの替わりに秋先生とサーカス鑑賞する。 浅葱は紫乃を呼び出し殺害する。【θ3人目】 「孝」が見つからず、里見八犬伝の犬塚信乃=紫乃のこじ付け。 浅葱は紫乃の殺害直後に体調を崩すが、どうにかネットカフェに辿り着きiへメール報告する。 ネットカフェで倒れた浅葱を連れて行ったのは石澤。 石澤は浅葱を自宅へ連れ帰り、月子を呼び出し後を託し、自分は友達の揉め事解決のため出て行く。 月子は浅葱の介抱中、iの証であるはずの背中の火傷に気付く。 そして、自分が紫乃にあげたはずのサーカスのチケットを見て驚く。 恭司が帰宅し、浅葱に対して胸中を語る。自身の破滅的な衝動を抑える存在である孝太・月子を大事に思っていることを。 ■第9章 10月11日 川崎幸利がiによりホテルで刺殺される。【風、風、吹くな:i4人目】 全体的に簡単に殺害現場から離脱できるのがご都合主義なんだが、遺体を引きずって非常階段まで誰も見られないはその最たる物。 遺体が墜落して破裂音がしたにも関わらず、シャワー浴びて帰る時間的余裕なんてあったのか? 10月15日 紫乃の告別式。 浅葱が「狐」を名前に持つ者は狐塚孝太一人しか思い付かないと言うのはアンフェアだろう。狐塚月子を知らないとは言わせない。 でも知らなかったんだね。浅葱は周囲に興味が無いから、秋先生と孝太と月子と美術館に行っても、それを気付かなかったと?! 月子は紫乃の告別式の待合せ場所と称して浅葱を205号教室へ呼び出し、θである事を問い詰める。 サーカスのチケットと、萩野からもらったと思われるアサギマダラの写真を手がかりに。 浅葱は、月子が自身の正義感と自己欺瞞から浅葱を糺そうとしており、その後は孝太のもとへ去っていくのだと考え、 月子の提案を受け容れず、逆に花瓶で月子を殴打する。 一方、紫乃の告別式からの帰りの車中で、秋先生が孝太の恋人を真紀ちゃんだと看破する。 初めて孝太が月子を妹だと語る発言がある。 秋先生が月子は浅葱の事を好きなのだと語る。 再び場面は浅葱。倒れた月子の財布から写真が出てきて、 孝太と映っている写真から兄妹である事を知り困惑する浅葱。【しゃぼん玉とんだ:θ4人目】 ■第10章 月子の回想シーンみたい。 月子が自分の知らない世界を知ってる事で紫乃は不安になる。 浅葱は恋愛が嫌いだから告白を諦める月子。萩野には看破されていた。 お前が『i』なんだろうと言われて、そうですよと平然と嘯く浅葱が陰でゴミ箱を蹴飛ばすくらいかっこ悪く悔しがってるのをみて好きになった。 紫乃は私の事を不安がらせる、嫉妬させる。だから私も大事なものは紫乃に話してあげない、隠す。 遠い意識から戻った月子は、自分が持っていたアサギマダラの写真を隠蔽しようと飲み込む。 秋先生が205号教室に立ち寄り、瀕死の月子を発見。そしてp354で魔法の言葉「吐き出しなさい。そうしなければ、息が詰まってしまう」炸裂。 ところが息が詰まる事を恐れない月子には魔法がかからない。 秋先生が孝太に連絡を入れ大学病院に呼ぶ。 浅葱は血塗れの喪服をトイレで水洗いし、盗んだレインコートで隠しながらお化けトンネルへ向かう。iに会うために。 孝太は実家に、恭司に、真紀ちゃんに連絡を入れる。秋先生は坂本警視に連絡を入れる。 日向子と義父も到着。孝太視線での二人の結婚当時の回想。月子の日向子への感情、孝太への感情が説明さながらに語られる。 翌日(10月16日)、秋先生が月子から無理やり吐かせたアサギマダラの写真を持って病院にいる孝太を訪れ、看破した真相を語る。 秋先生は浅葱に会おうと孝太に自宅の場所を聞くが、孝太は自ら行くと言う。そこに真紀ちゃんを送り届けた恭司が戻り話を聞いてしまう。 恭司の運転する車で浅葱宅へ向かう孝太。二人は散らかった家の中のPCを見て、お化けトンネルへと向かう。 お化けトンネルの中で左目にナイフを刺した浅葱を発見。【この子が欲しい:i5人目】 ■第11章 事件から2ヵ月後、月子が意識を取り戻す。しかし大学入学後の記憶が欠落している。 浅葱も一命を取り留めるが呼びかけには反応しない。10月16日に逮捕もされ3件の殺人事件と1件の殺人未遂事件がほぼ明らかになる。 iの存在を巡り諸説紛々。 12月18日 秋先生は坂本警視を訪ね、上原愛子の話を始める。二人は上原家を訪ね母親にも話を聞く。 12月20日 赤川翼が青森の交番に出頭(?)する。 埼玉の実家に戻って坂本警視に全様を語る翼。 10月12日にiは青森の翼を訪ねている。川崎を殺害した翌日ってことは翼に電話したのは川崎殺害の当日? 翼はiの人相を30代の男性だと偽証する。 ■第12章 12月25日 坂本警視の依頼で孝太と浅葱の対面。 孝太は秋先生からヒントをもらった木村浅葱=木村藍の2重人格説を浅葱に突きつける。 幼いころに藍を失った浅葱の解離性同一障害であると。 <表:浅葱>、<裏:藍>として語られていくのだが、実は<表:浅葱>こそ作られた人格だと言う。 お化けトンネルで<表:浅葱>を葬り去ったと言う木村(って言うしかないよね。もうどっちがどっちやら…)。 孝太はそんな木村に、木村自身は<表:浅葱>が好きだったのだろうと告げる。これが効いたらしい。 3ヵ月後、木村失踪。もう1人殺害し青森山中に埋めたと証言し、現場検証に向かう陸橋から川へ飛び込んだ。 孝太は9月からの留学(木村逮捕により孝太が選出)までの期間は研究生として大学に籍を置いている。 月子は次第に回復し、秋先生、真紀ちゃんとの出会いをやり直す。恭司とも来週出会う予定になっている。恭司の携帯に一本の電話。 赤川翼のもとに木村からと思われるメールが入る。 ■エピローグ 恭司が月子を訪れる。 恭司が月子の病室を辞す時、孝太と出くわす。 ところがそれは実は恭司ではなく浅葱だった。 恐らくは恭司の携帯に浅葱から入電。恭司は一発ぶん殴って、自分の代わりに月子に会わせる事にしたんだろう。 FLY TO THE MOON 月まで飛ばして か。 いやー、長かった2周目。 ちょっとご都合主義もあるけど、よく出来たオハナシだ。 3周目は気が向いたら。疲れるわ。