邪魔

奥田英朗・講談社文庫

こう言う警察が事件を追うのを『クライムノベル』と言うのだね。
帯には“クライムノベル必読の傑作!”と書かれていた。
解説で曰く「ある種爽快に道を間違えていく主婦と、やむを得ず壊れていく刑事の切ない物語」だそうだ。

奥田英朗と言えば、どこか抜けてるけど皮肉が爽快な伊良部シリーズや「ララピポ」しか読んだ事が無かったのだけど、
クライムノベルとなればどうしても新藤冬樹、日明恩や東野圭吾などと底流は似通ってくるのは仕方ないのか。
伊良部シリーズよりも前に書かれた作品の様だけど、奥田らしさはあまり感じられなかった。

出だしは天童荒太の「家族狩り」の様に、渡辺と久野と及川のストーリーがパラレルに展開され、
どう言う決着を見るのか興味津々。誰が誰を邪魔だと思ってるのか。
美穂が花村を。花村が九野を。九野は裕輔を。
店長は恭子を。茂則も恭子を。最後には小室も恭子を。
その内片方向の矢印は両方向に変わり、人間関係はグダグダに。

謎解きはストンと落ちてない。八王子の義母は結局何だったのか、不動産屋がどうしたのか、分からぬまま。
ハイテックスが最後に打った手もよく分からん。警察OBが手を回して、及川夫婦を生贄にトカゲの尻尾切りをしたと言う事?
中途半端に登場してきた脇田の父親は一枚噛んでいるのか?
でもいくら小説だからって、全ての謎に答えが与えられると思ったら大間違いなんだ。
そう思えば、腹も立たない。

「サウスバウンド」「オリンピックの身代金」なども気になりつつ、買うんではなく図書館だなと結論付ける。
今回も先輩から借りて拝読。

(09/06/14)


茶色い本棚(国内作家)へ戻る

私の本棚へ戻る

タイトルへ戻る