短いセンテンスで章を分け、それを重層的に織り成す事でストリートを駆ける疾走感が生まれるのか。
今回もマコトのニヒルな語り口が沁みるね。
しかしいつになく、過去のエピソードを引っ張るのが鼻につく。
再読を煽ろうという魂胆か?
p234の、溢れる情報は暴力とまではいかなくとも、ネット検索は却って徒労に終わるって事はままある。
結局、確かなのは自分の目で見て、自分で感じたこと。
いつも石田衣良からは、リアルとか、生(なま)とか、そう言うメッセージを強く感じる。
4話目のマコトとキングの友情物語のクライマックス。
キングこと安藤崇が本当に強いってのは肩透かし。マーシャルアーツでも何でも良いけどさ。
ストレートに暴力的に強いのではない畏怖こそがキングの証だと思うのだが。
とは言え、スグルに負ける訳にもいかないが。
てっきりアキヒロが実は「影」でした、ってオチかと思ったのに。大ハズレ。
ハードカバーはシリーズ9作目まで刊行されているので、まだまだ楽しみは続く。