面白かった。第二作目。恋愛小説の連作短編集だったのね。
最後は清涼感があるラスト・・・に思えたんだけどさ、よくよく考えると知らぬは旦那ばかりなり。
第1章でプロポーズを受けたものの、それを素直に受け入れられないヒロイン小夜。
続く2章から4章へと徐々に時代を遡っていき、最終章では各章の登場人物が大団円で結婚式。
しかもラストは、5年後にDVDで振り返っている。
まぁ、離婚もせずに仲良く夫婦生活を続いてるんだから、ハッピーエンドなのかなと思うじゃない。
ところが読者は2章から4章で小夜のヤンチャぶりを知っているし、旦那だけが結婚後5年経っても呑気な訳でしょ。
ある意味怖いわ。
1章、2章あたりまでは、男性の独占欲への痛烈なメッセージなのかとも思ったのよ。
折しも東京五輪組織委員会の会長だった森さんの舌禍や、後任人事を巡り川淵さんが浮上していた時期に読んだからね。
だから、あの琴吹さんですら結婚して男性のモノになるのか、と思わせて
祝電のメッセージは琴吹姓のままなので、あぁ、婿養子をもらったのか。さすが琴吹さん、みたいな。
こういうのは純文学に当たらないのかね。芥川賞候補作にくらいなっても良いと思うのは
贔屓の引き倒しでしょうか。第三作目が早くも楽しみ。