きれぎれ

町田康・文春文庫

『位は少将。心はチタン。』

読んでて、かなり面食らう。正直、きつかった。
全くもって、理解し難い。これだから文学賞なんてものは・・・と思わざるを得ないね。
放蕩息子が自堕落な生活を自嘲気味に話し続ける。ただただそれだけ。
途中で現実と、主人公の内面世界との境界が分からなくなる。
口調体の文章だから、読み辛いし、ちっとも楽しくない。
主人公が「異邦人」の一節を口にする辺りに、文学賞たらん高尚さを感じれば良いのか。

でも、唯一気に入ったのが“鎌草少将”の辺り。
特に冒頭にも書いたフレーズが気に入った。ここだけで、読んだ価値があったかも。語感が好きだな。
チタンの心と言うのが、水面下に卑屈さを隠した無機的な冷たさの表現として技巧的なのかどうかは知らないけど。

主人公が木崎と猿橋を金策に訪れるシーン。二人とも奥さんと揉めてるんだが、ひょっとしたら奥さんは殺されてる?
そう言えば主人公自身も奥さんとは上手く行ってないし。現代の夫婦がテーマだったのか?

(07/06/03)


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