罪の余白

芦沢央・角川文庫

遂に手を伸ばした芦沢央。まずはデビュー作から味わいましょう。
直前に読んだ薬丸岳「ガーディアン」も学校イジメに関連するテーマだったが、あれは教師目線だった。
今度は、被害者の親目線。

エピローグが無い方が鮮烈。
聡が生きていた事で後味の悪さは薄まるが。

真帆の手紙で、加奈のパソコンの遺書も必ずしも本心ではなく、
事故死に近いという種明かしがあったというラストなのだろうが。
それとて悔恨の解消とはなるまいし、却って空虚な思いをするのではなかろうか。

そうだとしても。
ずっと気になっていた、芦沢央の初読みは満足度高し。
登場人物が少ない分、物語に重力がある。
グイグイと引き込まれてしまった。
早苗のキャラ立ち位置は、確かに賛否両論かもね。少し便利に立ち回り過ぎた感はある。

映画版も見てみたいな。

(20/10/11)


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