ふたりの距離の概算

米澤穂信・角川書店

今年最大の発見だった米澤穂信。
古典部シリーズ最新作を予約してから、ようやく順番が回ってきた。
シリーズ前作の「遠まわりする雛」で明かされたホータローの胸の内。
少しは進展するのかと思ったけど…

これは「夜のピクニック」の米澤ミニチュア版か?
「クドリャフカの順番」の残り●冊と言うアイディアは面白かったが、これは二番煎じでは…
米澤穂信は頭の回転が良すぎるのか、オチに付いて行けない。
まるで物理か何かの高等な数式を解いてるのを見てるみたいで、ストンと落ちる共感が得られない。
ふぅん、そうなんだ。ってまるで傍観者。
ただまぁ、分かってから読み返すと伏線の収集が面白くもある。
関係無さそうな逸話も全て意味を持っているのだと。
ここが伏線でした、ってマーカーを引いて復習するみたいな。
米澤穂信はそう読みたくなってしまう。

しかし米澤穂信は小市民シリーズもそうなんだが、結構物騒なんだよね。
中高生が犯罪に荷担してるんだから。
ツッコミどころはまだあるぞ。
そもそも、5月末のマラソン大会の前日まで仮入部状態って、本入部への切替が遅すぎないか?
それに最後のホータローの推理、『ソウダ ソノコ』には違和感が。
千反田の言う惣多さんは親が市議会員だと言ってるし、
ホータローたちの同級生なら、彼らが卒業後に転校してきた大日向の『友達』との関連は薄い。

次回作で友子が入部してるかどうか。ホータローは入部しないと言ったけどね。それが楽しみだ。

(10/12/26)


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