文化の日に読み終えた1冊。
一人一人のほんの小さなモラル違反が、積もり積もって幼子の命を奪う。
それを糾弾する父親も、己のモラル違反に思い当たって・・・
一人一人の別の行動が、大きな流れを生み出すのは恩田陸「ドミノ」も同じ。
三崎亜記「となり町戦争」の中でも、ビニルハウスの光が眩しくて1台1台がスピードを落として
渋滞を引き起こすエピソードが書かれていたけど、無自覚な行動が引き起こした結果責任を
誰が負ってくれるのか、と言うのは難しい問題。本作では新聞社という組織を通して
行政までだろうという一定の解を導いているのか。
小説としてはよくできていると思うけど、加山のお父さんのその後が気になるが。
入院後、かなり容体は悪かったはずだが、健太の死後あまりにも触れられなさすぎじゃないか。
(祖母は孫より息子を溺愛という前振りがあったので百歩譲ったとしてもね)
足達の性癖も、この物語を成り立たせるためには強引でも已む無しなんだけど
やっぱり、あの木だけってのは無理があるよね。