僕はその5秒間で30分を使う
このフレーズが気に入った。
時間泥棒。そしてパラレルワールド。世の中は小さな決断で分岐が進んでいる。
何となく、分かる様な分からない様な世界観は、あとがきを読むことで頭がすこしスッキリする。
タイムトラベルは広瀬正「マイナス・ゼロ」を皮切りに、あの恩田先生も「ねじの回転」で扱ったりしている。
パラレルワールドは村上龍「五分後の世界」を思わせる。
いずれも正解が確立しない訳だから、アイディアという切り口の鮮やかさが肝。
伊坂幸太郎の底流はどこか「諦念」が漂っており、物憂げでダウナーな感じがするので
読後感はサッパリと言う訳にいかないのだが、短い章立てのテンポよい感じは読み手としてはありがたい。