正義のミカタ 〜I'm a Loser〜

本多孝好・集英社文庫

辻村深月もいろんなイジメを描いているけど、これもイジメのお話。
私もいじめっ子だった時も、いじめられっ子だった時もある。
猫を噛めないまでも、鼠が牙をむかなきゃいけない時もある。
ある日、突然、何かのきっかけでキャラが確定してしまう。
それを受け入れてしまってはいけないんだ。

いじめられてる事は恥と言うか汚点であり、心配かけるから親になんて言えない。
亮太の気持ちは分かる。だけど、周りも気付いているのかもね。
気付いた周りも、いじめられてる事実を確定させてしまうようで聞けないのかもね。
リカちゃんみたいに、いじめてる自覚は無くたって、いじめと認定されてしまう事もある。
悪意や攻撃性はなくてもいじめは成り立つ。
誰からみた正義か。正義は絶対正しい唯一の指標なのか。
善悪二元論で全てが成り立つなら世界は簡単。

いじめっ子たる畠田がラスボスなのかと思ったけど、さにあらず。
トモイチの怪我は、豹変した部長から救い出した武勲なのかと思ったけど、さにあらず。
畠田が亮太の窮地を救い、尚且つ亮太からの告発を受け止めるくらい良い人だったら、最初から困らないんだと思うが。
ご都合主義は否めない。
これ、虚構がばれた後の亮太のキャンパスライフはどうなるんだろう。
それが元でいじめられませんように。

(12/09/02)


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