解説を読んで尚スッキリ。
石田衣良のIWGPシリーズや、道尾秀介の「片目の猿」、荻原浩の「ハードボイルド・エッグ」等など、
町の私立探偵が繰り広げるシティ・アドベンチャーに通ずるテイスト。
本作においては、そこに家族と言う裏テーマがあるのだろう。
自分の代理で老人ホームに見舞いに行かせる依頼主だったり、
親と想いを通わせずに犯罪に加担する少年だったり、
親を殺める少女や、それを手助けする少女だったり、
浮気相手の子かもしれない赤ん坊を亡くした多田と、遺伝子上の娘を持つ行天と言う二人のバツイチ主人公。
そして血の繋がらない両親と家族を築いた北村。
東京の外れに存在する、架空の町まほろ市にはいろんな人が、いろんな家庭を持っている。
きっと今日も、その町のどこかで二人が誰かからの頼まれごとをこなすのだろう。
そして「たしかな意思を持って、事務所のある古ぼけたビルへ向かって」帰るのだろう。
独りの様で、一人ではない。それはなんてありがたい事なんだろう。