美丘

石田衣良・角川文庫

ドラマ版は見てなかったのだけれど、ドラマもラストはあの場面なのだろうか。
って事は、これは獄中記なのか? だって、そうでしょ。
小説はあそこで止められるから良いよな。現実はあそこからが厳しい道なのだが。
と無粋なツッコミはともかく。

やっぱり氷の王女が良いね。女性のプライド。あんな女に惚れられて何が不満だというのだ!
そう責める気持ちも、責められる気持ちも分かる気がする。
新しい服を卸して待合せに現れるところなんて、カワイイ限り。
でも与太話できない関係って良くないよね。やっぱり人間、素を見せられないとさ。
(それでも水沢エレナが相手なら、私はそっちに帰ると思うが…)

それでも、結論を出す事から逃げずに痛みを伴いつつ、王女ではなく美丘を選んだ主人公の強さには倣うべき点があるな。
王女を凌駕する、その衝動。それこそが恋か。最初の一歩が肝心なんだよな。

邦彦の「じゃん」の口癖が次第になくなってきたり、
ハナシが綺麗なまでに時系列で展開したり、
背表紙に書いてある麻理の準ミスがどこにも探せなかったりする辺り、
出自が連載なんだろうなと窺い知れる。悪くないけど。

(10/10/16)


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