噂の女

奥田英朗・新潮文庫

この一つ前に読んでいたのが、伊坂幸太郎の「夜の国のクーパー」だったので非常に読み易く感じた。
連作短編集と言う事もあって、一つ一つがサクサクと読めるし、連作だから次の章に進めば進むほど展開が楽しみになる。

悪女がのし上がっていくストーリーは東野圭吾の「白夜行」なんかもあるけれど、これはもっとあっけらかんとしてる。
抜け作が多いから、シリアスな物語にならないんだね。
結論としては大団円があるのかと思っていたから、ややラストは拍子抜け。
美幸にはもっと大きな舞台が用意されるのかな。

それにしても、美幸の暗躍の陰に思うのは地方都市の疲弊。
20代の若者たちに用意された未来も、華々しいものでは無く、どちらかと言うと閉塞感でしかない。
現状維持、前例踏襲が役所や談合に横行し、変化は悪。
東京の威を借るゼネコン副社長も美幸の毒牙にかかったのかね。

今、何読んでるの?って聞かれた時、奥田英朗のこの作品はどんなジャンルって説明すると良いんだろう。
ミステリでもないし、クライムノベルと言うのはパンチ欠けるし、娯楽小説って言ってしまったけどね。

(15/08/14)


■ドラマ版を見て
2017年10月クールのドラマを録画しておき、2020年コロナ禍の有閑でやっと見る事ができた。
ドラマ見始めた時に原作を読んでいた事を覚えておらず、「あれ、このドラマ見た事あったっけ?」と
勘違いするくらいデジャブだった。

地方都市をここまでこき下ろすと、辻村深月あたりに怒られそうだよ。
狭い因襲めいた重力の重さが息苦しい。

足立梨花推しで録画したのだと思ったけど、同クールの「逃亡花」にもカメオ出演していた。(「逃亡花」もコロナ禍の有閑チェックだったの)
それ以上に前田亜季の劣化ぶりに驚いた。
「バトルロワイヤル」のヒロインも、年かさキャバ嬢が板に付く疲労度が哀しい。
それに引き換え南沢奈央の可愛さは鉄板。

(20/05/09)


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