ミステリの旗手が書くのだから、何か仕掛けがあるはず。
疑ってかかっても、そうそう作者の意図を見抜く事はできなかった。
二組の母娘の実際の名前が語られないところから、叙述トリックなんだろうとは思ったよ。
ここが逆転でもするのかな、と思ったけど、そうでは無さそうだ。
幕間の教師たちの会話は、最初に先輩の方を女性なのかと勘違いしていたのだが、
まさか、そういう事だったとはね。
りっちゃんが律子なのは分かり易すぎるフリだったので、これはフェイクで全くの別人かとも思った。
ヒデくんが教師になってからの振り返りなのかと思ったけど、ヒデくんはのりっちゃん側で登場して連環が完結。
母と娘の行き過ぎた歪んだ世界は、辻村深月も「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」で書いていた。
恩田陸の「ユージニア」に見られるモヤモヤ感にも通じる。王道ミステリ感があって良いよね。
とにかく、「夜の国のクーパー」の後だと、読み易くて仕方ない。
移動中の電車の中でちょいちょい読みだったけど、読み易かった。
解説が、なかなか上手い事を言っていた。
文庫本は解説まで含めてエンターテインメントだな。